チョコレートの黎明から2005年(原著刊行当時)における高級志向の需要までを
米国人の著者は巡礼の旅を通じて読者に語りかける。
フランス、メキシコ、ベルギー、スイス、ロシア、イタリア、英国、米国ほか。
散りばめられたチョコレートメーカー、名ショコラティエのエピソードは
大変興味深い。
登場する人物で強烈な印象なのはクロエ・ドゥートル=ルーセル。
このユンヌ・ショコデパンダント(第一級のチョコレート中毒患者)のプロフィールは圧巻だ。
本書で発見だったのは、さすが米国人、メキシコのチョコレート事情をフォローしている点だ。
伝統のチョコレートソース「モレ」を作る過程をいきいきと描いている。
もちろんマーズ、ハーシーといった米国人にとっての「チョコレート」メーカーに言及
しており、そして米国においても高級チョコレート志向が生まれつつあること(ただし
苦闘している)がわかる。ハーシータウンの成り立ちを読むと、同社の買収に同業他社が
二の足を踏むのがよく理解できる。
高級志向という点では、品質とマーケティングの戦いは、日本においても熾烈である。
個人的には、高級市場でのブランドや名ショコラティエの名義貸し商売を有り難がるのは避けたい。
知識と業界事情を踏まえて食べるチョコレートはさらに美味しいものになるだろう。
それがパレ・ドールかチョコバーなのかは関係ない。