ミステリーでもなく、パラレルワールドで繰り広げられるSF的なものでもなく、学園生活をベースにしたお話でもない。演劇という非常に限られた世界を書いた、恩田陸さんの本では珍しいジャンルだと思います。なのでミステリー的な要素を少しでも期待して買ってしまうと、予想外な作品ということでガッカリしてしまうかもしれません。でも、読んでいる本のジャンルが偏っていて『新しいジャンルにチャレンジしてみたい!!』と考えている人には、非常にお勧めな本だと思います。この本でも恩田陸さんの独特な表現力が溢れており、演劇にまったく興味がない私も話にすっかり引き込まれてしまいました。
ひとつ不思議な点は、大事な登場人物である飛鳥という少女のキャラクターが、最後までうまく掴めなかった点です。私の想像力が足りなかったのかも知れませんが、読み終わった後に『飛鳥のもう少し人間的な面が書かれていればもっと感情移入できたのに』と思ったので星4つにしました。