本の題名の「チョコレートを滅ぼした」というところのみで購入を決めてしまいましたが、久々に時間を忘れて読む事のできた一冊。
内容は、チョコのみならずコーヒーやジャガイモやゴムといった、私達の生活には欠かせない植物に寄生(この本の場合では「共生」が正しい)するカビやキノコと、それらを発見し退治してこようとしてきた科学者達が描かれています。
まず興味をそそられるのが、共生しようとするカビ・キノコの持つメカニズム。なるほど、このような仕組みを持っているからこそ(かつ、生み出せるからこそ)人間以上にこの星を征服し得たのだと、あらためて納得させられるほど巧妙であり驚かされます。
二つめは、カビ・キノコの発生を何とかして食い止めようとしてきた科学者の努力の歴史。顕微鏡もないのに、肉眼では見る事のできない相手を前にして奮闘する姿は、拍手喝采、金一封ものです(そうでない人もいますが…)。しかし、彼らの努力は原因を解明できても、カビを根絶することは往々にして不可能なのです。それは根本で人間側がまちがっているから。
三つめは、著者のユーモアあふれる文章。無味乾燥なものに陥る事無く、時々はそのユーモアにクスッと笑わされたりしながら、最後まで一気に読めます。
四つめは文章中の「註」の部分。これは巻末にまとめて説明が載っていますが、この部分のボリュームもかなりあります。読み途中から巻末へ行ってまた戻ってと、読むには面倒くさいかもしれませんが、読み飛ばすにはおしい内容です。
私は甘党なのでチョコは好きですし、コーヒーも毎日飲みます。車の運転も好きなので、ゴムの木が無くなってタイヤが高値になったら困ります。そんな私にとっては「お先真っ暗」になるかもしれませんが(あくまでも仮定)、世界中で頑張っている科学者の皆さんの成功と自然との共生を願いながら、これから風呂場のカビ取りでもします。