中公新書のこの手の「○○の歴史」本は読み応えのある本が多い。
本書もユニークな視点から、チョコレートがどう世界史に関わって現代に至るかがわかる良書でした。
本書を読めば、チョコレートが古代マヤ、アステカの世界からヨーロッパにもたらされ、それがどうヨーロッパ社会に広まり、そして商品経済へと乗せられて世界中へと旅立ったかがよくわかります。
本書の特徴的なところは、産業革命後のイギリス、そしてアメリカでの「チョコレートを巡る労働事情」についてかなり多くの紙幅が占められているということ。
チョコレートが産業として成り立っていくにあたり、クエーカー教徒やロウントリー社といった会社がどういった役割を果たしたかを、労働問題の視点も絡めて解説していくという視点はなかなかユニークでした。
ただ、チョコレートの歴史を網羅的に知りたいという向きには、少々こういったことにばかり情報が偏っているのが不満かもしれません。
たとえば古代アメリカ世界でカカオというものがどんな役割を果たしたのか、イギリス以外の地でチョコレートがどんな発展をしていったのかという点などは、正直もっと知りたいところではあります。
そんな不満もありますが、十分読み応えのある一冊でした。