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チューバはうたう―mit Tuba
 
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チューバはうたう―mit Tuba [単行本]

瀬川 深
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ならば、私が、吹いてやる。私の肺は空気を満たし、私の内腔はまっすぐにチューバへと連なって天へと向いたベルまで一本の管となり、大気は音に変わって世界へと放たれるのだ―。第23回太宰治賞受賞作の表題作の他、渾身の書き下ろし作品2編を収録する。期待の新人の最新作品集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

瀬川 深
1974年岩手県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。同大学大学院博士課程修了。小児科医・医学博士。「チューバはうたう―mit Tuba」(「mit Tuba」を改題)で、第二十三回太宰治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 204ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2008/03)
  • ISBN-10: 4480804110
  • ISBN-13: 978-4480804112
  • 発売日: 2008/03
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
清冽で鮮烈な印象を残す小説だ。
野卑にならない程度の切って捨てるような文体が、テンポよく引っぱってくれる。
久しぶりにのめるように読んだ新人作家である。

チューバの魅力にとりつかれた主人公(26歳・女性)が、これでもかと
言わんばかりに、チューバの音を語り、なぜ吹くのかを省み、内から
突き上げられるようにのめりこむ自己をどうにかことばにしようとする。
捉えがたい内からの欲求に揉みしだかれ、チューバと自己のスタンスを語る。

中学1年で偶然にも出逢ったチューバを手ほどきしてくれた訥弁の先輩。
高校時代の吹奏楽部では、思う音楽に向かえないと、あっさり見切りをつけた
いきさつ。
チューバが咆吼するかのような、バルカン半島のジプシー音楽「ベッサラビアの婚礼」
との衝撃的な邂逅。
それから、黒帽子のクラリネット吹きとの出逢い。

インディペンデントのクラリネット吹きがインディペンデントのチューバ吹きを見いだし
自分の我楽多樂團に引き入れるさまは、ある意味アイデンティティーの
ぶつかりあいでもあり、彼らの技量が素晴らしいゆえにその何でもありめいた
音楽が妙に魅力的なのだ。

かつて、オーボエ吹きとフルート吹きが我が家にいた。
来る日も来る日もロングトーン。取り憑かれたような日々があったことを思い返す。

「ならば、私が、吹いてやる。」
チューバのベルから世界へと放たれる音楽は紛れもなく、私の中から湧き出てくる
私の音楽だと言い切る小気味よさ。
紙面から音が立ちのぼってくるかのごとき勢いに圧倒されるラストだ。

他に「飛天の瞳」「百万の星の孤独」の二篇の短篇。
この人はどこか捕まえどころのない遠い思いを描くのがうまい。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By tay1
形式:単行本
あなたがチューバを吹く人であっても、吹かない人であっても、あるいは楽器の類いにふれた事がなくても、この話は面白く感動のような爽快感が得られると思います。

26歳の女性という設定の文体にしては少し固い気もしますが、最初に書かれているフレーズ、最後に同じように書かれるフレーズ、これ一発で帳消しです。

読み応えのある、秀逸な中篇小説といったところでしょうか。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
表題作について。とても内省的で賢い独身女性が主人公である。高校で在籍したオーケストラ部についてこう切って捨てる言葉が鮮烈だ。

「オーケストラの団員たちは練習することには熱心でも、その行為がどれほど本質的なものであるのかという、どんな物事に対しても必要であるはずの内省を放棄して、あるいは気付かないままでいるように思われた。音楽そのものにではなく、音楽に関わっているという状態が、彼らの快楽だったのだ。」

このような批評性を持ってしまった若者が、はなもちならない大人になる、というのはよくある悲劇だが、しかし書き手の成熟はそのような紋切り型の思考に落ち込まない。知性と情熱は、もし本物であるならば限りなく上昇し天に向うものだ。そう感じて晴れやかな気持ちになる傑作である。
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