読んでる間は正直そこまでの盛り上がりを感じなかったのですが、最後の1ページでどっと涙が溢れてしまいました。自分でも驚きです。
舞台となる「造船技術が進歩した時代」、そして「新大陸チュニカ」
これらの世界観は、そのスケールの大きさに対して話そのものが6話(+書き下ろし)と短いせいもあり、少々厚みに欠ける部分があります。
すっきりとしたイラストやコマ割り、分かりやすい言葉選び、なんら矛盾のないキャラの行動、テンポのよい展開…そうした巧みさもあいまって、良くも悪くもさらっと読みすすめることが出来てしまいます。
「そういう世界なんだ」という理解は容易に出来ますが、それ以上の奥行きや立体感といったものはあまり感じられませんでした。
ただ、そうしたことはこの作品においてはあまり問題ではありません。
それはこの物語の核が「人」や、そこに宿る「繋がり」「思い」といったものであるからだと思います。
もしかしたらそうしたやや希薄な世界だからこそ、キャラクターやその心情が埋もれてしまうことなく、くっきりとした形で浮かび上がるのかもしれません。
あくまでも世界はキャラクターのために、そんな印象を受けるほど、キャラクターの思いが際立っている作品だと思います。
愛しい、忘れない。言葉だけが先行し、ともすれば描写が空虚になりがちな感情ですが、この物語ではしっかりとそれがあるのを感じます。そうしたものを感じたい方にぜひお勧めしたい作品です。