チャーリー・ウィルソン。’70年代後半から’80年代にかけて一時代を築いたGAPバンドのリード・ヴォーカルというだけでなく,アーロン・ホールをはじめとして多数のフォロワーを輩出したR&B界屈指のシンガーである。
5年ぶりの新作となる本作では,R.ケリーがプロデュースした冒頭の2曲でグイッと引き込まれる。ピアノを基調にボトムの重いビートでゆったりと流れる「Magic」,シタールも交えたメロウなフレーズをループさせた心地よい気だるさが漂う「Charlie, last name Wilson」。いずれも彼のディープでエモーショナルなヴォーカルが炸裂する。そして,GUYの2ndアルバム収録のナンバーをカバーした「Let’s Chill」。原曲も素晴らしかったが,それを越えると言っても過言ではない素晴らしい出来だ。この曲だけのためにこのアルバムを買ったとしても損はないだろう。ちなみにGUYの2ndアルバムと言えば,GAPバンドの「Yearning For Your Love」のカバーが収録されていたわけであり,これはチャーリーを敬愛するアーロンへの心憎いまでの演出か。
この他にもアコースティックで爽やかなバラード「Asking Questions」,しみじみとしたコーラスが印象的な「Thru It All」,アコースティック・ギターとクラップハンドを基調とした軽快だが,郷愁を誘うミッド・テンポ「My Guarantee」,タイトなビートとシンフォニックなメロディーの組み合わせがスリリングでドラマティックな展開を見せるアップテンポ「After Party」など佳曲が揃っている。
近年,R&B界ではベテラン勢が良質のアルバムを発表しているが,ここにまた1枚,そんな良質のアルバムが加わった。