本書はスタインベックがアメリカとアメリカ人を知るために,実際に愛犬「チャーリー」を連れキャンピングカー「ロシナンテ」に乗り三ヶ月かけて全米を旅した旅行記です.
本書に書かれている旅行の内容も然る事ながら,旅行の動機に胸を打たれました.スタインベックは「自分は長年、アメリカ人の人情風俗にじかに触れないでアメリカのことを書いてきた。知らないことについて書くのは作家として犯罪的行為だ。もう一度この目で自分の国を見てやろう」と言います.スタインベック自身もアメリカ人であり,長年アメリカに住み,自身の経験とアメリカに関する文献を参考にアメリカについて書いてきましたが,すべての土地を見たわけではなく,すべての土地の人と話したわけでもない,というのです.
我々日本人は,いったいどれだけ日本について知っているでしょうか?学校で日本の歴史や地理を学び,家族旅行や修学旅行で日本の名所を訪れただけで,日本について知っているといえるでしょうか?せっかく日本という美しい国に生まれたのだから,北海道から沖縄まで足を運び,富士山に登ったり,地元の人々と海の幸や山の幸を肴に日本酒を煽りたい,と思わせてくれる作品でした.まさに「本を捨てて街へ出よう」を体現していると思いました.