この作品は評価が分かれると思う。
ある程度第二次世界大戦について理解・知識があるといかにブラックユーモアたっぷりかがわかる。
わからない人には全くの駄作である。
英国の英雄ウィンストン・チャーチル元首相は存在しなかったという大胆な「歴史の事実」の発見から始まる。
全編ブラックユーモアだらけである。
冒頭に出てくる現代の英国首相。見栄えがよさそうな若い首相はトニー・ブレアをイメージ。
責任感の強い王女(長女)は若き日のエリザベス2世である。
ヘビースモーカーの国王はジョージ6世。戦時中の耐乏生活を率先模範した人物像を逆手にとって「ケチ」な国王となっている。
英国王の宮殿でさっそく絵を盗もうとするゲーリング(実際にドイツ軍が占領した各地の美術品を略奪していた)、冷酷非情なヒトラーの副官、表面上は秘密だったエヴァ・ブラウンの存在、チャップリンが真似たのとそっくりなヒトラー
主人公アメリカ人のチャーチルが何気なく話す言葉が全てチャーチルの歴史上の名言である。
また、スノッビズムに染まった英国上流社会を見事に皮肉っており、一方で対比的な英国の労働者階級を描いている。
このブラックユーモアの最大のところは1940年当時にイギリスの上流階級や政府首脳の多くはドイツとの融和(和平)を考えており、労働者階級のほうがむしろドイツと徹底的に戦うべしと考えていたことである。これは至る所に出てくるドイツと戦う気のない軍首脳などがその例である。一方で自らを犠牲にした煙突掃除人は犠牲をいとわずナチスと戦った英国の庶民代表である。
さらに使われる音楽にナチスやヒトラーを徹底的にバカにした歌が使われている。
英国の英雄チャーチルと国家元首にして存命中のエリザベス女王をここまで茶化したブラックユーモアはない。
このブラックユーモア精神を評価したいが、アメリカ人受けを狙ってアメリカ称賛が強い(本来の英国人なら「単独で戦ってやる」と強がる)のと現代のアメリカ人の氏名をジョークに使っていることである。それで星一つ減点。