2009年5月27日、72698人を収容できるイタリア・ローマのスタディオ・オリンピコで行われた、欧州ナンバーワンのサッカークラブチーム決定戦、UEFAチャンピオンズリーグ2008-09決勝を追ったドキュメントです。
「世界最高の一戦を読み解く」という副題のとおり、この試合の布陣や選手の動きを細かく分析した戦術解説書としての性格も色濃く持っています。記述はこの試合だけでなく、過去のチャンピオンズリーグの様々な名勝負と日本代表チームの試合分析、そして杉山氏が考える、サムライブルーがとるべき戦略にも及んでいきます。
作者の杉山氏は、チャンピオンズリーグの密度に比べれば、4年に一度のワールドカップは「ウスい」と言い切ります。しかしだからこそ、日本という弱者が戦略次第ではジャイアント・キリングを起こす可能性が秘められているのだと論を展開しています。
サッカーを布陣から見ることを説いて人気を呼んだ、同じ作者の著書「4−2−3−1」ほどの密度は、残念ながらありません。バルセロナとマンチェスター・ユナイテッドの決勝戦の記述に、様々な過去の試合とその分析がやや散漫に挟まれていて、作者の主張が薄らいでしまったように感じます。
2010FIFAワールドカップ・南アフリカ大会にあわせ、恐らくは出版側からの要請で、大会前における岡田ジャパンの書くに忍びない戦いぶりに関しての記述を無理やりたくさん押し込んだのでは、と邪推してしまいます。その後日本代表は南アフリカW杯で決勝トーナメントに進出する快挙こそ果たしましたが、いっそ日本代表についての記述は申し訳程度にしておいたほうが、統一感のある構成になったのではないでしょうか。
というわけで、イマイチの読後感により☆2つ。