本書は三沢ファンの著者が取材をもとに三沢選手の素顔を伝えてくれるとても興味深い内容になっている。時期的には98年の全日本初の東京ドーム大会からG馬場さんの突然の死,そして引退記念試合を同じくドームで行う99年頃。三沢−小橋の黄金カードが年間ベストバウトに2年連続で選ばれるなど,王道全日本のクライマックス的時期である。
前時代的な反則攻撃,両者リングアウトなど,三沢選手の試合にはない。すさまじい大技の応酬と高い受け身の技術が三沢プロレスの真骨頂である。プロレスを芸術的に進化させたてきた三沢選手の本音,美学が語られている。
著者は音楽ジャーナリストとして活動されてきたようなので,随所で音楽的表現が使われているが,私のような音楽に疎いものには,やや伝わりにくい。途中に挿入されているモノクロ写真のページはとても良い雰囲気がある。
本書のボリューム二百ページ足らずとやや少ないのが残念です。
第1章 ジャイアント馬場を継ぐ者
第2章 43分29秒(98年10月31日小橋戦のこと)
第3章 俺を見ろ,と三沢は言った
第4章 幻の三沢秀樹(三沢選手の生い立ち)
第5章 誘う男(小川良成をタッグパートナーに)
第6章 八百長への反論
第7章 ランニング・オン・エンプティ
第8章 不良少年とプロレス