ビジョルドの新刊だ!と衝動買いしたところ、「戦士志願」のマイルズが活躍する
SFシリーズとは全く関係ない、完全なファンタジーでした・・・。
しかし読み始めると、さすがのストーリーで一気に読んでしまいました。
剣と魔法や、美男美女が華麗に入り乱れるようなファンタジーではありませんが、
宮廷内の政治的駆け引きや腐敗、血族間の問題など、ヴォルコシガン・サーガでも
おなじみのテーマが語られていきます。
また、魔法使いは出てきませんが、人々の姫神・御子神・庶子神など神々への
信仰は厚く、病や不運も神の啓示として語られたり、聖者の奇跡や呪詛などに
満ち溢れた世界が舞台で、神々との係わりは物語の重要なキーとなっています。
主人公のカザリルは中年じみた35歳の元騎士で、物語の序盤では心身とも傷ついて
卑屈になりながらも、わずかな希望を頼って旅をしています。その後運命か神の導きか、
国主の妹姫の教育係となり、望まずして宮廷の陰謀に巻き込まれて行きます。
けして前向きでも健康でも、若くも美男でもない主人公ですが、日々の役目を
過ごしながら少しずつ、生きている価値や今までの人生の意味を見出していく姿には
共感させられます。
この<五神教シリーズ>は3部作で、これが第1作目ということですが、
1作目の上下巻で物語としてはすっきり完結しますので安心してお読みください。
(2作目はヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプル受賞作ということなので
次回作も期待できそうです。)