本書に収録されている「創造者アダム」前半のあらすじを紹介します。
世の全てを厭う危険なヒキコモリ老人アダム(モデルは哲学者のフリードリヒ・ニーチェ)は、自らが発明した最終兵器『否定のキャノン』によって世界を滅亡させます。しかし、神に罰として世界を再創造するように言い渡されたアダムは、まず蚤を創造し、その次に金髪の美女エヴァ(巨乳)を創造しますが、ニーチェ的な超人思想に基づいて作られたエヴァは、誰にも従属せず、一欠片の同情心も持ち合わせない高貴な性格でした。「汚いわ。近づかないで」「わたしの奴隷になりなさい」などと散々アダムを侮辱したエヴァは、「さらなる高みを」と言い残して、山頂に消えてしまいます。自立した女性に絶望したアダムは、可愛らしいドールハウスの住人で、自分を愛してくれるちっちゃな女の子リリットを創造します(一人称は“リリットちゃん”)。「あははは、こいつは中毒になりそうだ!」「楽園の生活のはじまりだ」「ああ、好きだよ、ああ、こん畜生、好きだよ! こんなんじゃ、人間、気が狂わないではいられまいよ!」などと、かつて世界の全てを否定し、滅亡させたことも忘れてリリットちゃんにのめり込む老人アダム。はたして彼の未来は……。
コメディと銘打たれていますが、クライマックスはシリアス展開で物語は政治的、宗教的闘争等にまで発展します。ラストは凄いです。私は神エンドだと思いました。とにかく、これほど素晴らしい作品が日本でほとんど読まれていないということが残念でなりません。ご一読をお薦めします。