大学の授業でロレンスの別の作品が出てきたのがきっかけで、この本も読んでみました。
スキャンダラスな逸話にちょっとびくびくしていたのですが、描写自体は今日まったく問題にならない程度のものでした。もちろん、肉体も愛と理解のためには重要な要素である、という意味で、性描写がけっこう出てきますが。
おどろいたのは、よく言われてきた「夫がだめになったので身分の低い肉体派の森番と云々」というのがまったく間違いだったこと。
森番メラーズは生まれた階級は低いが、才能と努力と幸運な出会いによって教養を身につけた紳士で、体格はそれほど立派じゃない上に大病の後遺症でむしろ病弱。軍隊から帰ってみれば、同じ階級の家族や隣人とは話す言葉も関心事も価値観や倫理観も違ってまるで話が通じない。それで森番という孤独な仕事を選んだのでした。
コニーも、負傷した夫は代償行為か非情な金儲けに邁進するようになり、上流階級の知人たちの無理解から、孤独に苦しんでいた。
読後感はむしろ、孤独なふたつの魂が惹かれあった、美しい恋愛小説でした。