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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
予想以上に面白い,
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レビュー対象商品: チャイルド44 上巻 (新潮文庫) (文庫)
いつ誰に見られ、密告されるのか、ピリピリした緊張感がたまらない。 ある種のディストピア小説のようでした。 魅力的な舞台装置とキャラの力でグイグイ読ませますね。 旧ソヴィエトにおける不条理と 貧しさの描写が印象的でした。 各地で起きる事件を追う上巻。 理想にかける国家の執念にぞっとしました。 前半は物語の本筋よりも、 旧ソ連での日常生活が衝撃で、 度々ページを繰る手をとめてしまいましたが、 事件が回転し出すと一気に夢中になれます。
22 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文才×馬力が生み出す、恐怖の時代の狂気の犯罪小説,
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レビュー対象商品: チャイルド44 上巻 (新潮文庫) (文庫)
『Child44』推理欲をあおる記号を読者に投げつけ、内容への手掛かりは残さない。タイトルからいきなり秀逸だ。この小説は1933年のウクライナの家族の話から始まる。極限状態での人間の哀れを描いたプロローグは僅かな謎を残して終わり、20年後の本編に移る。そして謎がまた一つ増える。推理小説の出だしとしては常套手段だが、ふと気になりプロローグを読み直した。 『すごい。』 長編の出だしとしてはもちろん、ここだけを短編として独立させても良い完成度の高さだ。 生死の限界でもなお発揮される慈愛の心、極限状態での人間の醜悪さ、幼い兄弟の覚悟と意気込み、読者の予想を裏切る展開、そして苦みの残る不条理な結末。 これらを30ページ足らずに描く構成力と切れのある表現力。ロブ・スミス氏のデビュー作は、プロローグで高い文才を披露してから本編が始まる。 主人公は旧ソ連の恐怖の政治の中枢を担った、国家保安省捜査官のレオ。冷徹なレオは幾つかの過ち(温情的判断)により、自らも国家の標的とされてゆく。レオは多くの代償を払いながら人間性を取り戻し、やがて一連のグロテスクな殺人事件に執着し始める。 国家がいかなる非も認めぬ社会は、巨大な不条理を生み出した。その中でもがくうちに、レオと妻ライサの関係は、上辺だけの空虚な愛情から、同じ信念のもとに戦う仲間の絆へと変わってゆく。 ロブ・スミス氏の文章は、娯楽大作のように読者にページをめくらせ、圧政下における人間性の描写は古典文学のように重厚である。 本書の一番の魅力は、国民のほとんどが恐怖に取り付かれ、残りの多くが狂気に取り付かれたスターリン時代の空気を、小説内に再現したことであろう。 著者の抜群の学歴と端正な顔立ちは天才肌を匂わせるが、時代の空気を再現する緻密な描き込みには、膨大な調査の跡を感じる。才能だけでは描けない相当な馬力を要したであろう力作である。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
デビュー作が本書とは…恐るべし,
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レビュー対象商品: チャイルド44 上巻 (新潮文庫) (文庫)
著者のデビュー作にして、英国推理作家協会賞に輝く本書は、日本でも2009年版このミステリーがすごい!の海外編第1位となっています。 舞台はスターリン体制下のソ連(1950年代)。 プロローグでは、遡ること20年、極貧の寒村で、 飢えをしのぐため、やせた猫を仕留めようと 森に出かけた兄弟に襲いかかる悲劇が描かれます。 このシーンは今後、物語後半への大きな伏線となっています。 その後に幕開けとなる本編に登場するのが、 この物語の主人公である国家保安省の捜査官レオ・デミドフなのですが、 当初はスパイ活動への捜査が描かれます。 本書のメインは、上巻の裏表紙にも記載のあるとおり、 ある猟奇的な大量殺人なので、 スパイ活動捜査という物語展開が、 どのようにして猟奇殺人と結びついていくのか、 少々になるところですが、 そこは、ストーリーテリングの妙で、 上巻ではその展開がひとつの読みどころとなっています。 全体として、本書の大きな特徴は、 スターリン体制下のソ連を舞台としながら、 現代風のサイコ・サスペンスを見事に実現させた点だと思います。 次第に明らかになっていく犯人の正体は、 ある意味で意外なものですし、 犯人を追う主人公のレオが陥っていく状況も 手に汗を握るものがあります。 特に下巻に移ってからの展開は、 上巻でのスパイ活動捜査時の出来事が 巧くストーリーに絡まってきて、 ページを繰る手がもどかしくなること請け合いです。 面白さ抜群の本書ですが、 これほどの作品で登場してしまうと、 この質を維持し続けるのは結構大変なのでは… などといういらぬ心配をしてしまう作品でありました。
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