盗みや殺人が横行する時代の中国。借金の集金のために旅をしている書生ツァイ
サン(レスリー・チャン)は、ある晩、寂れた蘭若寺に泊まることにする。そこで、ツァ
イサンは、道士のイン(ウー・マー)と出会い、寺には、妖怪たちがいるとおどかされ
る。気弱なツァイサンはビクビクして寝床に就くが、どこからともなく聞こえてくる不
思議な琴の音色に導かれ、森の中をさ迷う。そして、湖上の水上亭で琴を弾く美し
いシウシン(ジョイ・ウォン)を見つける…。
中国、清代の怪奇小説短編集『聊斎志異』の一編『聶小倩』を映画化したファン
タジー・ラブロマンスの傑作。80年代の新興映画会社シネマ・シティ(新藝城影業
有限公司)の大ヒット作品で、シリーズ化(3まで)及びアニメによるリメイクもされた。
主演のジョイ・ウォンは、本作で、人気を不動のものにし、日本のCMや日本映画
史上類をみない珍作『
北京原人 Who are you? [DVD]』などにも出演した。
ナイーブな青年と妖艶な幽霊のラブロマンスという、中国の古典的題材を現代的な
演出で甦らせたのが、本作のミソだろう。東洋的な情緒的雰囲気を基調にしながら
も、ワイヤー・ワークによるスピーディでダイナミックなアクション、意表をついたキャメ
ラ・アングル、リズミカルな編集、(香港映画にしては)高度なVFX…など多面的な演
出の面白さが一つになり、本作の熱っぽいエネルギーとなっている。一言でいえば、
香港映画の目指すエンターテインメントそのもの。「面白いものを作ってやろう」とい
う製作のツィ・ハーク、監督のチン・シウトンの(さらに言えば、シネマ・シティの)心意
気が見事に結実した作品だ。
妖しく繊弱なジョイ・ウォンのフォトジェニックなショットの数々が、目に焼きついて離
れない。風なびく長い髪を顔にかけて初めて登場するシーンの悲しげな眼差しの
ゾクッとする美しさ。霧深く、風がそよぐ湖上の水上亭で、琴を弾くたおやかな姿態
の優美さ。彼女のような逸材をキャスティングできた時点で、作品の成功はすでに
約束されていたのかもしれない。
本DVDは、2005年にユニバーサルから発売された盤同様、香港Fortune Starのデ
ジタル・リマスターされたマスターを使用したもの。総じて良好な色合いの画質だが、
夜のシーンが多く、若干、人物が観づらいところもある(カラコレ=色補正の違いで、
収録されている予告編の夜のシーンのほうが観やすく感じる)。特典には、ユニバー
サル盤同様、予告編集、フォト・ギャラリー、音楽監督ジェームズ・ウォンのインタビュ
ーが収録。