中国関係の本は,中国脅威論か,中国を非難するか,どちらかになりがちであるが,現在の等身大の中国を理解することができる良書である。私自身,中国駐在経験があるが,中国へ行く前にこの本に出会えればよかったと思う。本書の特徴は,以下の二点だと思う。
1 中国経済の実体を豊富な統計データをもとにわかりやすく分析
報道等で現れる中国経済は,一面的なものになりがちだが,リーマンショック以降,中国経済がなぜV字回復したのかについて,それぞれの分野ごとに,時系列に沿って,そして統計に基づいて,わかりやすく分析されている。また,今の強い中国経済に残された課題についても,わかりやすく解説されている。
2 好調な中国経済を支える政治体制の強さ
中国の政治体制については,マスコミで報道されるのは,共産党一党独裁くらいで,また書籍でも具体的な政策決定メカニズムが分析されているものは多くない。本書は,中国の政治体制について,非常に優秀な中央政府のテクノクラートが経済政策の意思決定に大きな影響を与えていること,他方で,政策実現過程においては,法律ではないとしても,何らかの法規に基づいて,政策が実行されており,無法地帯ではないことが明らかとなる。このような実態は,あまり日本では知られていない。今後,日本は,このような中国の政策決定メカニズムを踏まえた上で,中国にどう対すべきなのかを考える必要があるように思う。