西本さんがロシア国立交響楽団首席客演指揮者就任して、チャイコフスキー『交響曲 第5番』を指揮したわけで、結構期待して聴きました。
ロシア国立交響楽団の金管楽器はとても良く鳴っていますし、弦楽器の繊細さは感じ取れました。彼女の指揮ぶりは、解釈も王道ですから違和感はありません。
第1楽章もそうですが、木管楽器奏者が活躍する場面が多いのですが、メロディを吹くクラリネットのピッチが幾分低く感じられました。響きのせいかもしれません。
第2楽章の甘美なホルン・ソロは抑制された演奏で弱音の響きが美しく伝わってきました。
第3楽章「ワルツ」はもっと伸びやかに歌っても良かったのではと思います。好みの問題でしょうが。
第4楽章の「運命のテーマ」の弦の合奏を聴くとチャイコフスキー特有の響きがストレートに感じられ、やはりロシアのオケだなあという素朴な感想を持ちました。金管のコラールの響きはもう少し雄大さをもって表現して欲しかったと思います。
2011年2月7日〜11日の「モスクワ放送局 第5スタジオ」での録音ですし、結構残響も効果的に施してありますので、録音は一定の評価をしたいと思います。
スヴェトラーノフが指揮者として君臨していた旧ソヴィエト国立交響楽団時代は、ムラヴィンスキーのレニングラード交響楽団と覇を競っていた名門オケですし、今でも「本場物」という意識は濃厚に持っています。
日本人指揮者でしかも女性がそのポストに就くなどとはスヴェトラーノフ時代は考えられなかったわけで、その意味でも西本智実さんは快挙を成し遂げたと思います。
リーフレットの解説は山野雄大氏が受け持っており、5ページにわたってしっかりと読み応えのある説明がありました。またCDの帯に書かれた彼女のコメント「それでも人は運命に立ち向かっていく」は含蓄のある良い言葉でした。