スヴェトラーノフはN響のメンバーに大変好かれ、尊敬されていたのですね。
N響で30年ヴァイオリンを弾いた鶴我裕子さんの、
バイオリニストは肩が凝る―鶴我裕子のN響日記における、
「スヴェトラーノフが来た日」と「スヴェトラーノフが死んだ日」を読むとよく分かります。
このCDに収められた演奏は、1997年9月5日のものですが、その僅か5日前、1997年8月31日に英国のダイアナ妃が事故で亡くなりました。
鶴我さんの「スヴェトラーノフが死んだ日」によると、チャイコフスキーの交響曲第5番、第二楽章の演奏を始める前に、マエストロは
「ダイアナ=プリンセス・オブ・ウェールズに捧げます。」と言い、客席は水を打ったようになり、鶴我さんも涙が込み上げそうになった、
とあります。その思いがN響の面々に伝わり、ホルンの松崎さんの名ソロは勿論ですが、全体として稀代の名演になっています。
外見だけでは分かりませんが、大変なロマンチストだったスヴェトラーノフ。その本質がとてもよく現れている。
素晴らしい演奏であり、疑う余地もなく、これは名盤です。