ゲルギエフとウィーンフィルによるチャイコフスキーの3大交響曲集。収録時間的には2枚で収まるが、1曲1枚方式で3枚組になっており、値段に反映していないならいいサービスであるが・・・。
録音は最初が5番(98年)で、あと4番(02年)、6番(04年)となる。全般にロシアのメランコリーを漂わせながらもウィーンフィルの重厚でシンフォニックな響きにより、ドイツ的な音色に仕上がっているように感じられるのが特色。主兵マリインスキー管弦楽団との録音とは一味違ったしっとりさがあり、演出にも適度な余裕が感じられるのが心憎い。中でももっとも成功しているのが第5番である(ライヴ録音なので、終演後の熱狂振りがまた演奏の成功をよく反映している)。ここでは、たたみかけるような加速感が心地よく、かといって破綻を微塵も感じさせないオーケストラの技術が圧巻であり、加えて、ホールトーンの美しい響きの余韻もよく収録されている。第4楽章はティンパニもトランペットも弾けるような生きの良さであるが、それが仰々しい感じに響かないそのセーヴ力は見事の一語に尽きる。次いで第6番ではこの曲では異様ともいえるスケルツォの明るい音楽が徹底して練りこまれており、この楽章でこれほど「深み」を感じさせる演奏はちょっとないだろう。総じてゲルギエフフアンのみならず、広く音楽フアンの心に響くアルバムとなっていると思う。