チャイコフスキーは1970年12月、パークレイン録音。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番作品23はまさにアルゲリッチのためにあるような、彼女のピアニズムにピッタリの曲だ。ぼくが知る限りではこの盤の録音が最初のレコーディングだと思う。指揮はアルゲリッチの2番目の夫、シャルル・デュトワ。二人が結婚したのが1969年のことで、来日時に大喧嘩となり、アルゲリッチだけ先に帰国してしまったというのは有名なエピソード。このチャイコフスキーの録音だけが二人で録音した唯一のもの、と永くなっていて、いわく付きのものだった。そういう背景を頭において聴くと確かにただならぬ雰囲気がピアノに指揮に漂っていて、どうも今ひとつすっきりこないのも当然かもしれない。
この後、キリル・コンドラシンとライヴ録音を1980年2月に、クラウディオ・アバドとライヴ録音を1994年にこの曲は録音しているが、やはりコンドラシンとのライヴ盤が一番の出来だと思う。シャルル・デュトワとは1974年に離婚してしまったが、デュトワが60才にならんとする1996年に、再度二人は急接近し、デュトワはアルゲリッチの得意中の得意のピアノ協奏曲を二人の手で残している。そのレコーディングがプロコフィエフ第3番であり、ラヴェルのト長調ピアノ協奏曲だ。