今度の辻井君のCDがチャイコフスキー協奏曲の1番と聞いて、最初はどうなんだろう?と半信半疑でした。確かに、今までのチャイ・コンは誰の演奏を聴いても重々しく、堅苦しいものばかりなのに対して、辻井君のチャイ・コンはさらっとした演奏なのですが躍動感があり、瑞々しい感性が全曲通してほとばしり出ているのが感じられました。
作為的な曲想や自己陶酔的な演奏は全く無く、聴き終わってみると、とても清々しい気分になり、もう一度聴いてみたくなる、そんな気持ちにさせられる若々しいチャイコフスキーに仕上がっています。
特に終楽章は、彼持ち前の推進力に溢れる、勢いはあっても決して重たくなく、明るく壮大なロシアの清風を感じられるものでした。やはり佐渡さんとの相性ばっちりなのでしょう!
またBBC交響楽団は、さすがと言うしかない奥行きと広がりを感じられる演奏で、辻井君のソロに寄り添い・競い合いしてすばらしい音ですね。
余談なのですが、このCDを聴く前にBBCラジオで放送された、CDの録音前日に行われたマンチェスターでの演奏会の中継録音も聞いていました。殆ど英語力のない私でもナレーションの方が伸フィーバーという言葉を繰り返していたのと、演奏後のイギリスの聴衆の歓声と大きな拍手から、大成功に終わったという事が分かりました。そしてその興奮冷めやらぬうちに、このCDの録音が行われたそうです。