久しぶりに亀山さんの作品を読みましたが、皮肉なコメントになってしまいました。このような作品の出版が許されるなんて本当の特権というか夢の実現といってもいいくらいです。そしてこれほどのスペースを埋められるだけの文才というのも皮肉でなく本当にうらやましい限りです。音楽を聴いてその感想をここまで文字に転換できる才能は本当に見事です。
さて中身はというと、最初から最後まで亀山節です。もうすこし彼の専門領域と関連付けられた話が苦虫をつぶしながら展開されると思っていたのですが、途中からは「ロシア的」「ロシアの大地」などという万能の修辞句が縦横無尽に多用される、ライナーノートになってしまいました。亀山氏の個人的な思い出も嫌味にならないほど、ひっそりと、でも的確にかつ貴重な「歴史的事実」として織り込まれています。亀山さんがエフゲニーを演じたなんて知りませんでした。お似合いじゃないですか。
全編を通して底流として流れるのは、何とも言えないアンビバレントなソヴィエト国家へのノスタルジーです。soviet-algieとでも名付けましょうか?僕にもその一端は共有されるものです。