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チボの狂宴
 
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チボの狂宴 [ハードカバー]

マリオ・バルガス=リョサ , 八重樫克彦 , 八重樫由貴子
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商品の説明

内容紹介

1961年5月、ドミニカ共和国。31年に及ぶ圧政を敷いた稀代の独裁者、トゥルヒーリョの身に迫る暗殺計画。恐怖政治時代からその瞬間に至るまで、さらにその後の混乱する共和国の姿を、待ち伏せる暗殺者たち、トゥルヒーリョの腹心ら、排除された元腹心の娘、そしてトゥルヒーリョ自身など、さまざまな視点から複眼的に描き出す、圧倒的な大長篇小説! 2010年度ノーベル文学賞受賞!

内容(「BOOK」データベースより)

1961年5月、ドミニカ共和国。31年に及ぶ圧政を敷いた稀代の独裁者、トゥルヒーリョの身に迫る暗殺計画。恐怖政治時代からその瞬間に至るまで、さらにその後の混乱する共和国の姿を、待ち伏せる暗殺者たち、トゥルヒーリョの腹心ら、排除された元腹心の娘、そしてトゥルヒーリョ自身など、さまざまな視点から複眼的に描き出す、圧倒的な大長篇小説。

登録情報

  • ハードカバー: 544ページ
  • 出版社: 作品社 (2010/12/25)
  • 言語 日本語, 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4861823110
  • ISBN-13: 978-4861823114
  • 発売日: 2010/12/25
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 279,476位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
チボとは、実在したドミニカ共和国の独裁者であるラファエル・トゥルヒーリョ大統領のこと。独裁者に私物化されたドミニカの悪夢のような世界が、フローベールの流れを汲むヨーロッパ小説的リアリズムで描かれる。配下の議員の妻を寝取ったり、都合の悪い人間を抹殺したりと、やりたい放題である。大統領に不満を持つ、サルバドール、アントニオ、アマディートらによる大統領暗殺計画を縦糸に、尿失禁に悩む大統領の身近な出来事と、カブラル上院議員の娘のウラニアによる現在からの回想を絡ませて、複眼的に当時のドミニカの世界を浮かび上がらせる。
リョサと同様にノーベル文学賞を受賞しているガルシア=マルケスの「族長の秋」もトゥルヒーリョがモデルらしい。二人のノーベル文学賞受賞者に取り上げられるほど、トゥルヒーリョは文学者の想像力を刺激する存在らしい。マルケスのほうはシュール・レアリズムと実験的文体で描かれている。リョサの「チボの狂宴」を読んだあとは、「族長の秋」も読み返したくなる。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
文学の至福 2011/5/23
バルガス=リョサさんの本を読むのは『楽園への道』に次いで2冊目。女性運動家とその孫であった画家ゴーギャンさんの物語を交互に語っていく『楽園への道』に比べると登場人物も多く、しかもみんな本名、あだ名、通称(?)などで呼ばれ(まるでロシア文学みたい)、最初は「読めるかなあ」とちょっと不安になったけれど、読み出したらぐいぐい引き込まれ、大冊を1週間で読んでしまった。
 ドミニカ共和国を長年に渡って支配した独裁者トゥルヒーリョ、彼を狙う暗殺者グループ、そして作者の創作であるという米国に逃がれ数十年ぶりに帰国した女性ウラニアとその失脚した独裁時代の元重鎮である父、三者の物語が交互に描かれ、しかもそれぞれの物語の中では、現在と過去を継ぎ目なく語りが往還する。そうしたテクニックを駆使しながら、文学臭をつゆほども感じさせず、それぞれの人物を実際に見てきたかのようにぐいぐいと人間として描きぬいていく筆致が素晴らしい。独裁者トゥルヒーリョでさえ、性と老い、そして近親者のだらしなさに苦しむ1人の人間と思えてしまう。そして作品の最後に向かって、ジグソーパズルのピースがぴたっとはまっていく。こういう作品を読むと「知的」な小技に走った中途半端な現代日本小説を読むのが馬鹿らしくなってくる。
 ここまで来たら作品社さん、反トゥルヒーリョ派の象徴だったミラバル姉妹を描いたフーリア・アルヴァレスさんの小説『蝶々たちの時代に』も出すしかないですよね。
 
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By 紫陽花 VINE™ メンバー
ドミニカを舞台として、30年に渡る一人の総統の独裁体制下の社会・人間模様とその崩壊の過程を多角的視点で綴った作品。ガルシア=マルケス「族長の秋」と同様のテーマで驚くが、描写方法に工夫が見られる。邦題は原題(「La Fiesta Del Chivo」)のほぼ直訳だが、日本では通常"祝宴"と解されているラ・フィエスタを「狂宴」と訳している訳者の見解が本作の内容を示唆している(Chivoは山羊だが、ここでは統統の呼称)。

本作は次のいずれかの体裁を持った章で構成されており、これが作者の工夫である。作品全体を貫く時間軸は存在しない。

(1) 総統の言動・性癖を三人称で綴った章。戯画的と言う程ではないが、狂気と滑稽味を併せ持った典型的な独裁者として描かれている。だが、真の「狂宴」が始まるのは......。原題の巧みさに感心した。
(2) 反体制グループのメンバ達の過去と決起時における言動・心理をカットバックで三人称で綴った章。一番緊迫感と詩情に溢れている。
(3) かつての総統の片腕で、その後失脚し、今は脳溢血で倒れている老人の娘ウラニアの独白。ウラニアはNYの上流層で活躍中のキャリア・ウーマンで35年振りに帰国し、父親・親族に向かって過去の"問わず語り"をするという体裁。進行に連れ、本作がウラニアの物語でもある事が分かって来る。

(3)を加えたのは、物語に重層性だけではなく史実性を与えようとの意図があったのだと思う。相容れない父娘の和解というテーマを盛り込みたかったのかもしれない。全体として"個人の自由"の尊厳を謳った作品だが、作者がアメリカ的民主主義に与してしない事は文章の端々から窺える。中南米という地理・歴史的条件がもたらす複雑な政情、対米感情も丹念に書き込まれている。ボルヘスやガルシア=マルケスが好む時間の循環性及び幾何学性構成を活かした力作だと感じた。
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