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そのチベット密教自体には、危険性がなかったのか?とずっと疑問に思っていましたが、この本を読んでチベットにもその種の呪殺あるいは毒殺などの暗黒の歴史があったと知りました。
チベット密教というと、どうしても瞑想法や絢爛たるマンダラの世界に目を奪われがちですが、その歴史への認識なしに安易に瞑想ばかりを行うことは体験至上主義に陥ってしまうという、オウムが落ちた罠について考えさせられる一冊です。
チベット密教に興味のある方は瞑想やマンダラもいいですが、ぜひこの本も一読!して欲しいと思います。
本書は、インドと中国の仏教の影響を受けながら、土着信仰も取り入れてチベット独自の仏教的価値観を作り上げた歴史をたどり、プトゥンやツォンカパなどのチベット仏教に多大な貢献をもたらした人物を紹介し、ゲルグ派、ニンマ派、カギュ派などの諸派の鳥瞰を示している。しかしなんといっても本書の最大の特徴は、チベット密教を語るのに避けて通れない「性的ヨーガ」の話題が詳しいことである。「性的ヨーガ」とは出家者が解脱を得る!ために異性のパートナーを伴って性交渉を通じてエネルギーを得る修行法である。当然この修行法は誤解もされたし、解釈をめぐって論争もあった。基本的に性行為を禁止する仏教の戒律と、究極の修行形態としての「俗」に徹する代表としての性の価値を認める立場がまっこうから対立したからである。本書では、チベット密教でもっとも禁欲的で戒律の厳しいゲルグ派による「性的ヨーガ」問題の解決や各派、各修行者それぞれの態度を紹介している。
本書を読めばチベット密教についての基本的知識はあらかた得られるだろう。歴史や教理はもちろんのこと、この宗教を語る時、避けて通れない「オウム真理教」についての著者の見解も述べられた格好の入門書である。
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