登録情報
|
ハードカバーが発売されたときは本屋に平積みで、私の目には後光を放っていました。普段文庫本ばかりでハードカバーを買わない私はそのとき中もあらためずレジへ持っていきました。大正解でした!私の大事な本になりました。それが本書「チグリスとユーフラテス」との出会いでした。それがついに文庫本になった。「買う!」
レイディ・アカリ(穂高 灯)と相対する惑星ナイン最後の子、ルナ。ルナはアカリに教えられる。たとえ最後の「子(人間)」であっても最後の生命体ではないということを。ルナも命を持つものの「母」になれることを。たとえ移民は失敗しても、この星は生き続けていくことを。
新井素子は、すごい。
「星へ行く船」シリーズを読んでいた頃は新井素子は面白くて楽しい作家でした。コバルトシリーズを卒業して、だんだんなじみの薄い作家になってしまいました。
そして、「チグリスとユーフラテス」衝撃でした。
移民してからルナまでの400年の間ナインでどんなシステムの社会がよいシステムなのか、模索され変容されていった社会形態。そして、人類の「生きる意味、そして目的」。
ルナが求め続けた問いにアカリは答えを示す。そしてルナは答えを出す。上巻からここにたどり着くまでの、長い、練りに練られたストーリー、そしてその意味。
読後、私は涙をこぼしていました。誰もいない宙港、蛍の光、そして、一番星。私には見えました、一番星が。
新井素子はすごい。
人生に意味は必要なのか。といういささか哲学的な話になってくるのだが、読みながら自分自身の人生を振り返らずにはいられなくなる。
SFというよりは、あまりに深い葛藤がえがかれている。
そして、最後に表題のチグリスとユーフラテスの意味に気づく。
少々長いが、読み続ける価値のある作品だと思う。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|