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60 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
伝説の誕生,
By 銀の黒うさぎ (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD] (DVD)
第1部の「28歳の革命」が、
革命家チェ・ゲバラの輝かしい成功と達成の物語であるとすれば、 第2部の「39歳 別れの手紙」は、彼の挫折と死の物語です。 この2つの物語はくっきりと明暗のコントラストを成して観る者に提示されます。 「第1部」では1964年のニューヨークからはじまり、 女性ジャーナリストとの丁々発止のやりとりも楽しいインタビューシーンや、 ゲバラの人生でもっとも華やかな瞬間となった、 「祖国か死か」で有名な国連演説のシーンを合間にはさみながら、 喘息持ちのアルゼンチン人医師がキューバ革命に参加、 激しいゲリラ戦を戦い抜き、カストロらと共に革命を成し遂げるまでを感動的に描きます。 しかし、ソダーバーグも話しているように、 この映画の本質は「第2部」の方にあるのです。 内面も外見も魅惑的な愛すべき「第1部」の主人公は、 「第2部」では最初から最後まで周囲や内部の裏切りと無関心に苦しみ、 持病の喘息の悪化と厳しい自然環境に痛めつけられ、 心身共にボロボロになりながら劣勢の中で戦い続け、 最後には刀折れ矢尽きて、無残に処刑されます。 この辛い物語には、しかし、 まるでボリビアの峡谷を吹き渡る風のような、 不思議な突き抜けたすがすがしさがあります。 それはチェ・ゲバラという人の無私で清冽な人格、 人間の理想と正義の可能性への強い信念が、 この作品の隅々にまで漲り、観る者の心に迫ってくるからです。 キリストがそうであったように敗北の果てに永遠の命を得、 人種や思想の相違を超えて、21世紀に生きる私たちの心のイコンとなったからです。 過剰な演出を一切廃し、音楽も効果音も最小限に抑え、 ひたすら淡々と時系列に描かれる「チェ・ゲバラの最後の戦い」、 20世紀を代表する熱いカリスマを熱演し、 スクリーンに鮮やかに蘇らせたベニチオ・デル・トロと、 取り上げる対象の複雑な立場・性格を鑑みれば、 政治的にも興業的にもリスクの高い冒険となることを恐れず、 7年間の真剣なリサーチの元にこの大作を完成させた、 現代のハリウッドを代表する世界的「アメリカ人」映画監督S・ソダーバーグに、 心からの「ありがとう!」を贈ります。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「モーターサイクルダイアリーズ」と「ゴッドファーザー2」と合わせて見ると良い,
By donkobune (福岡県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD] (DVD)
この作品は、チェ・ゲバラが南米大陸縦断旅行を行った「モーターサイクルダイアリーズ」と、アル・パチーノが演じるマイケル・コルレオーネが、キューバ革命に遭遇する「ゴッドファーザー2」と合わせて見ると、より面白く見ることができます。
「自分探し」の旅に出たゲバラが、その旅で得た結論が革命家になることでした。喘息に苦しみながらそれに耐え、戦場で武器を持って戦い、医師として治療にあたり、司令官として部下を率いて、ついにキューバ革命を成功させます。何をして良いのか判らなかった良家のお坊ちゃまが、無鉄砲な旅からラテンアメリカの過酷な現実を知り、それを変えようと革命家になります。 一方、父を守るため不本意ながらもマフィアのボスとなったマイケル・コルレオーネは、、経済使節団の一員としてキューバへ行きます。精糖・鉱山・電話・輸送事業などでキューバの経済を支配する大企業のアメリカ人経営者たちと一緒に、バチスタと会見します。マイケルはホテル経営者として出席します。その中に首都ハバナの高級カジノホテルを数多く所有するハイマン・ロス(「演技の鬼」と呼ばれ、多くの俳優を育てたリー・ストラスバーグが演じている)も同席します。実はロスはマイケルと同様のマフィアの大ボスです。彼はバチスタ政権と癒着して莫大な補助金を受け取り、免税措置でカジノホテルの収益を米国へ持ち去っています。キューバの地図を描いたケーキを切り分けながらロスは、「キューバは天国だ」と得意げに語ります。ゲバラやカストロたちが敵としたのは、バチスタだけでなく、ロスのようなキューバを食い物にしているアメリカ人たちもでした。 「天国」はゲバラたちによって崩壊しました。マイケルは革命成功で混乱に陥るハバナから命からがら脱出します。ロスは革命政府が公表した秘密文書で、マフィアのボスであることがばれて、世界中を逃げ回り、最後は暗殺されます。これが「ゴッドファーザー2」に描かれています。 この3つの映画を合わせて見ることをお勧めします。
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
チェ/革命戦争の青春,
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レビュー対象商品: チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD] (DVD)
第一部
後にチェと呼ばれる革命家が、頂点に向け輝きを増しながら歩み続け、司令官として成長するゲバラの青春が描かれるパート1。 本編では、主に山岳をベースに鍛えられ成長する人間像、人として何処にでもある弱さによりゲリラ部隊離れていく人間像、酒と女で身を持ち崩す者、人間関係により敵対していく者、濃縮された人間関係が痩せた山岳ベースで展開される。 当時のキューバ政権の腐敗と統治能力の喪失が、カストロ兄弟とゲバラの革命を幸運にも受け入れる。 本編では、革命政権成立後の国際政治でのゲバラの行動を対比して描き、革命政権存続の困難と現実政治の中南米政治の力学、パート2に繋がるゲバラの置かれた位置を浮き彫りにする。 長尺ではあるが、スクリーンで対決したい一作です。 第二部 カストロ兄弟と共に闘ったのキューバ革命戦争勝利し、一度は政権運営の任にあたったその国を旅立ち、ボリビアを舞台に新たな革命戦争を目指したゲバラの落日を描くチェ・パート2。 キューバ政権奪取後、政権を離れた経緯には既に諸説が語られているが、政権運営・政権維持の日々にリアル感を持ちえず、戦場にのみ死に場所を求める心性と理解したい。これは、晩年の西郷隆盛等にも見られると思う。 しかし、ボリビアにおいては、「外国人」としての現地政治との距離、キューバ革命の成功体験による視野狭窄、あるいは革命家としての「名声」とのジレンマ、伝説の革命家に寄りかかる革命家志願者のひ弱さ等があったのではなかろうか、これらの諸々が人民の海無き山岳ゲリラを消耗戦・敗退戦へと導く。 本編では、ゲバラの病もあろうが、「老い」と前屈みの司令官の映像が痛々しい。客観情勢あるいは主客の基盤を冷静に観察せず、希望的観測・願望先行のカストロ兄弟無き単独の革命司令官の夢想が、銃殺時の意識喪失までのタイムラグを表現したゲバラの視界の揺れとかすみの中に落とし込まれて描かれている。 『モーターサイクル・ダイアリーズ』と合せて、3部作として鑑賞するのも一興と思われる。 「梁山泊」、「亀山社中」、改革を志す者たちの心を揺さぶる物語が様々存在するが、学ぶべきものは敗北と失敗の中にこそあると考えさせる物語である。
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