「この先、このまま生きていっても、きっと何も変わらないだろう」と、自分の人生に絶望し、自殺することに決めた女性。死を決意した彼女の一年間を追っていく話をAとすると、複数の自殺者の死の特異な共通点に気がつき、その真相を調査していく週刊誌記者の話はB。AとB、今から一年と数ヶ月前に話がはじまる前者と、ある共通点が見受けられる自殺が続いた現在から話がはじまる後者が交錯する形で、ストーリーが進んでいくミステリ。最初はそれほどでもなかったのですが、終盤に向かうに連れてぐんぐん面白くなっていき、目が離せなくなっていました。
バツグンに面白く、印象に強く残った点がふたつ。
一年後に自殺することを心の拠り所にして生きていく女性の変貌、生き生きとした人間らしさを取り戻していく姿、その変化が魅力的に描き出されていたところ。そこが、まず素晴らしかったな。一年間の暇つぶしのためにとボランティアすることになった養護施設で、子どもたちやスタッフと過ごしていく中、彼女は変わっていく。終盤、彼女の心境と行動の変化にすっかり魅せられ、胸にこみ上げてくるものがありました。
面白かったもう一点は、これも終盤、ある絵柄ががらりと変わり、「えっ!!!」と仰天させられたこと。全く念頭になかったので、これにはすっかりダマされてしまった。背負い投げ一本、てな感じですかね。著者に投げ飛ばされてから、あわてて前の頁に戻って読み返しまして、「ああ、不覚。ああ、錯覚」と、自分の頭をこつんと叩いた次第(笑)
結構すれっからしのミステリ読者なのですが、これはとても面白かった。途中からは、もう一気読みに走っていました。