スペイン連合軍がグラナダに入城、ムスリムは無条件降伏及び完全撤退を承諾。
これによってレコンキスタは終結を迎えた。
喜びに沸きかえる場でミゲルはチェーザレに呟く。
「どちらにせよ元々流浪の身だ。故郷などあってないようなものだ」
「ではいったい何に乾杯しよう」
「そうだな…今日まで生き延びてきたことに」
また、フィレンツェで行われる祝祭に招待され同行したラファエーレは笑う。
「要は生き延びればよいのですよ。最後まで生き残った者に神は微笑むのです」
「生き延びること」が難しかった時代。
生まれた時から陰謀や画策の中で生きてきたチェーザレの、無駄の無い人生。
それは強烈なカリスマ性を感じさせつつも、それだけに哀しい。
アンジェロがある娼婦と出会う「自由」を持つのと対照的に、
チェーザレの人生は、家を、ひいては国家を背負ったものなのだ。
以前イタリアを旅した時、都市間で争った歴史を聞いて不思議に思ったが、
日本での戦国時代と考えれば納得がいく。
家々、都市の代表といえどもそれぞれは「糸」でしかなく、
縒り合わさり一本の「綱」とならなければ他国との対抗は難しい。
更にその、いつ解けるとも知れぬ綱に「結び目」を作る者こそ、真の統治者だ。
チェーザレは、イタリアの要となれるのか。
今巻はスフォルツァ家など、居城が観光名所になっている登場人物も多く楽しめた。
また次巻への引きが大いに気になるところで終わっており、続巻に期待する。