原子力発電は、科学技術なのだが、原発の扱い方を見れば、
社会の進歩性がわかるということを書いた本。
トルストイの戦争と平和に、「幸福な家庭はどこでも同じだが、
不幸な家庭はさまざまである」という書き出しがある。
さて原発の事故はどうか。
家庭と違って、こちらには、共通な面といろいろな違いがあるようだ。
重要な指摘のいくつかをあげると、
1.チェルノブイリの原発(4号炉)は、設計ミスだという。
またほどなく、他の1,2,3号炉は発電が継続された。
2.爆発の規模や汚染の事情が、きちんと測定されなかった。
また被災者に正確な情報が伝わらなかった。
3.爆発事故は早急に、秘密主義的に、収束が宣言された。
4.86年から5年後に、発電所から100キロ離れたナロジッチ町
が立入禁止地区に指定された。
5.ドイツからの支援の医療器具はモスクワに保管され、チェルノブイリには届かなかった。
6.多くの支援物資も同じく、被災地区には届かなかった。
7.少量の被ばくの影響が、研究されはじめた。
3,4年後から被災地域での子供の甲状腺異常や発がんが始まった。
8.放射能粒子はドイツ、オーストリアにも及んだが、ドイツ政府は、乳牛の放牧の禁止や飼料の注意など、必要な指示を行わなかった。
などなど。
鋭い観察眼と事実を追及するジャーナリストの魂が、感じられる
真実の書である。