本書は、1986年に出版された本の新装版。
本文中の放射能の単位の表記は旧単位だが、内容は古びていない良書だと思う。
序章は、チェルノブイリ事故が起きて間もない1986年5月に執筆された、著者の日誌による克明な記録。
本文構成は
1.チェルノブイリで何が起きたか
2.原発事故を考える
3.ポスト・チェルノブイリに向けて
終章と資料
その他、本書の後半三分の一くらいは、チェルノブイリ月誌(1988年に原子力資料情報室の「ブックレット」)
チェルノブイリ原発の構造の説明の章では、大変興味深い記述があった。
当時の通産省では、「チェルノブイリと日本とは原子炉の型が違うから日本では事故が起こらない」とタカをくくっていたという。
このような過信と驕りが、今回の事故をもたらした原因の一つだと言えないだろうか?
また、「日本の原発は事故を起こさない。絶対安全」という宣伝のかたわら、原子力安全委員会では、ヨウ素剤を原発周辺の保健所に何万人分と置くことを勧告していたということ。事故が起こりうることを前提として原発が稼働しているにもかかわらず、そういった事実は原発が建設されてから知る事だという点。
それは、いったい何を物語っているのだろうか?
その他、実際に起きたTMI原発事故の原因と実態、影響なども掲載されている。
日誌には、事故後に旧ソ連に乗り込んだIAEAの面々が行った記者会見での「事態は収拾された」という驚愕の言葉についても触れられていた。
ヨウ素が体にもたらす悪影響、原子力は人類と共存できないという記述も、知っておくべき事実だと思った。
政治的な背景、原発推進派の国際問題、事故後の健康被害、IAEAの体質に疑問をお持ちの方には、絶版になっていて大変惜しいのですが
チェルノブイリの真実が、事故後10年後のチェルノブイリのルポルタージュの名著なのでおすすめします。