チェリビダッケの演奏速度は、年齢とともに遅くなったのは事実だ。初期のベルリン・フィル時代(〜1954年)、北欧のオーケストラ時代は、溌剌として緊迫していた。後期のシュトゥットガルト放響+ミュンヘンフィル時代(1971年〜)は、精密で、ゆったりとしている。
その中間に位置する、イタリア時代はどうだったのか。チェリビダッケのすべてに迫りたいと思う我々にとって、このCDは貴重な映像付音源である。
強力とは思えないイタリアのオケを率い、ブルックナー:交響曲第9番(収録:1969年5月2日)、ベルリオーズ:幻想交響曲(収録:1969年10月24日)、プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調(収録:1970年4月30日)などの大曲が収録されている4枚組み。
ブルックナーでは、ブーイングをもらってしまう珍しい場面も収録されている。解説にも付されていたが、ブーイングをくらうような演奏ではないことは、聴いていても分かる。
オーケストラの技量に応じて「厳しい教練」を加えることで、オケに最大の効果を発揮するようことを仕事としてきた彼のイタリア時代の成果が収録されている。
ベルリオーズ「幻想交響曲」も、平成21年時点で、彼の正規版の音源として、だたひとつ販売されている貴重なものだ。
どの演奏にも「ここだ!」演奏中のオケに思わず声で指示を飛ばす、「チェリの雄たけび!」が聴ける。曲の最大のポイントを、聴衆にも示してくれている!なんという親切!ファンの我々としては、微笑みたくなるほどの「チェリの雄たけび!」なのである。