まさしくもっと世界に広くその悲惨さが知らしめされるべき問題なのですが、著者の高揚感、物語としての描写力が高すぎて逆に現実味を削いでしまっているようで非常に悔しい思いです。訳者自身あとがきで触れていますが、冒頭からいきなり小説のような展開が続きます。それがこの著者の特徴なのでしょうが、前作に続き同じような作風(最早作風と言うにふさわしいレベル)で読み方によってはやや過剰演出。そこが高い評価を受けるかどうかは読者の好みが分かれるかもしれない。私にとってこれは戦争小説。戦争小説はいけないということでなく、一流戦争小説は現実よりもよほど戦争の悲惨さや著者の思想を伝えてくれます。ただその点では著者はいきなり現場レポーターの目線になっています。著者にとってチェチェン、戦争孤児たちは何なのでしょうか。むしろそっちの方が気になる本でした。