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60 人中、59人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ロシア人と関わる方全てに,
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レビュー対象商品: チェチェン やめられない戦争 (単行本)
当方日本企業でロシア営業を担当しております。ロシアのことはそこそこ理解しているつもりでした。チェチェンについての「興味」と「情報」は日本のマスコミから得る以上のものはありませんでした。そんな私が本書を手に取り驚いたのは、「チェチェンはロシアの縮図そのものじゃないか!」ということ。貧乏人が貧乏人を搾取する。その違いは搾取する側の貧乏人には「権力」があり、搾取される側には「それ」がないということ。構図は同じ。モスクワで見聞きする構図と。あるいはシベリアで。あるいはサハリンで。思わずため息が出る。その権力のトップにいるのがプーチン。最新刊の「プーチニズム 報道されないロシアの現実」を興味深く読み、同じ著者の著作を・・・と思い手に取りました。ロシアの本質をしるには最新刊よりもこちらが優れています。 出張先のロシアで原書を手にしましたが、いくつか掲載されている写真が日本語版はモノクロ、ロシア語の原書はカラー。顔いっぱいにケロイドを作った男の子の写真を見比べるとその衝撃の度合いは日本語版のモノクロでは伝わりません。でも著者のAnna Politkovskayaは実はここまで伝えようとしていたのですね。おそらく出版コストの関係で日本語版ではモノクロになってしまいましたが、Annaの「人間を信じたい」という信念は日本語版でも十分伝わります。訳もこなれていて読む進む上でストレスを感じませんでした。最近BRICsの一角を占めるロシアを解説する書物がようやく増えました。でもチェチェンで今も行われていること、ロシア人がどうしようもなく止められない戦争をしてしまっていることを同じロシア人として、一人の人間として自分の目で確認したAnna。彼女は本書のどこかで、「全体の流れではなくこの事実を・・・」と書いてます。ジャーナリストとして、母として。プーチンが主導する現在のロシアの本質が描写されている。仕事で、あるいはプライベートでロシア人と関わる方、どうかご一読を。そしてAnnaの次の著作が出ることを彼女の無事とともに祈ります。
28 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
チェチェンで何が起きているのか,
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レビュー対象商品: チェチェン やめられない戦争 (単行本)
日本の大新聞の国際面での断片情報ではとうてい知り得ない現実を伝えた、渾身のルポだ。チェンチェンのニュースにしばしば登場する地元の“野戦司令官”とは、ロシアからの独立を求めて抵抗を続けるイメージのロマンチックな正義の味方ではなかった。また、鎮圧に乗り込むロシア正規軍関係者は、想像を上回る腐敗にまみれている。深夜の突然の逮捕と拷問。家族に身代金が用意できなければ、翌朝、死体が道路に転がるだけ。累々たる死体を前に、「まるで中世だ」と著者は息をつまらせる。身の危険を承知でグロズヌイへの命がけ取材を繰り返す著者はまた、宗教だけでは割り切れない独特のチェンチェン社会にも精通し、この下劣な戦争の終わらないわけを、わかりやすく解説してくれる。
41 人中、40人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
たった一人の目撃者として,
By kanti (東京都世田谷区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: チェチェン やめられない戦争 (単行本)
もしもジャーナリストの使命が権力を監視し、事実を伝えることによって差別や抑圧、貧困といった人間の作り出した病を治癒しようとすることだとすれば、本書の著者であるアンナ・ポリトコフスカヤはロシアという瀕死の重病に立ち向かい続ける数少ない希望の一つであると思う。チェチェン戦争に対する自国ロシアの責任を沈黙する世界に向かって問い続けてきた彼女は、自身幾度も死に攫われかけながらも(実際プーチンは「我々にとって危険なのはテロリストではなく、ジャーナリストだ。彼らを殲滅するべきだ」とラジオで発言したことがある)「私以外にここで起きていることを語る人はいない」という決意のもと、他者への無関心によって利己的な平和を享受しようとする人々に対して「少しずつ死んでいる」というチェチェン市民の日常化した悲劇と絶望を代弁していく。「モスクワがチェチェンに求めているのはただひとつ、無秩序を維持すること。混乱は儲けにとっては好都合だ、管理された混乱ほどより多くの配当をもたらすものはない」と指摘する彼女の眼は、だがチェチェン武装勢力の大義を理想化することも同様に許さない。 本書を読んでいる間にも、北オセアチア共和国でチェチェン絡みの人質事件が発生し、日本のメディアはロシアのチェチェン占領に目をつむりながら彼らの学校占拠を声高に報じ始めた。一方のチェチェンでは何十万人もの市民がロシア軍の人質となっているのだが、それはそれ。「テロとの戦い」に必要なのは、占領というテロの温床から可能な限り人々の目を逸らしていることだ。そうでなければ私たちは彼らをテロリストと呼べないから。彼らを差別し、抑圧し、それを「正義」だと信じ続けることができないから。 「国益優先で、慈悲心という言葉が制度からだんだん締め出されている現実をすでに私たちは目にしているではないか。権力は自国民に対して残虐さに基づいた行動原理を与えようとしている」。彼女の警句が現実化しているのは、もうロシアだけではない。
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