内容紹介
チェチェン内戦の不条理を、ロシア軍士官の孫を基地に訪ねる母親の姿を通じて暴く。
ソクーロフ監督による鎮魂歌
ソクーロフ監督が世界的なチェリストを撮ったドキュメンタリー『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』では、その妻ガリーナ・ヴィシネフスカヤが主役のロストロポーヴィチを圧倒する存在感を見せつけている。このヴィシネフスカヤを主演に迎え、ソクーロフ作品では珍しく監督自らが脚本を執筆した作品が『チェチェンへ アレクサンドラの旅』である。
ロシアからの独立を求め、内戦が続くチェチェン共和国。そこに設営されたロシア軍駐屯地に、ロシア人の老女アレクサンドラが訪ねてくる。孫の士官デニス・カザコフに会いに来たのだ。アレクサンドラは、孫以外の兵士たちと仲良くなり、さらには駐屯地の外でにぎわう露店で商売をするチェチェン人の女性とも仲良くなっていく。その交流を通じて、人間の自由な精神の働きを奪い去る戦争の非人間性が、次第に暴かれていく。
ヴィシネフスカヤは世界的なソプラノ歌手だが、厚かましくも情にほだされやすく、庶民ならではの智恵の言葉を吐いたりもする、典型的な市井のロシア人女性を演じている。ソクーロフは、『精神の声』をはじめとするさまざまな作品で戦争の不条理を描いてきたが、この作品でもまた、戦闘を指揮する立場にある大尉のデニスですら、意味を見いだせずにいる戦争の姿をつきつける。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
アレクサンドル・ソクーロフ監督がチェチェン内戦の不条理を描いたドラマ。チェチェン共和国のロシア軍駐屯地に孫を訪ねて来たロシア人の老女・アレクサンドラ。ほかの兵士や露店のチェチェン人女性と親しくなる彼女の姿を通して、戦争の意味を問う。