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チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)
 
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チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚) [単行本(ソフトカバー)]

S.ツヴァイク , 池内 紀[解説] , , 関 楠生 , 内垣 啓一 , 大久保 和郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,940 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

ふつうの読書人にとって、小説は面白くなければ意味がない。
今はなき<われらの書痴児玉清>がもっとも愛した表題作「チェスの話」をはじめ、
歴史的状況と人間心理への洞察に満ちた名作3篇を収録する。
第一次大戦とインフレを背景にして、盲目の版画コレクターと博識のユダヤ人愛書家が辿る
悲惨な運命を描いた2篇「目に見えないコレクション」と「書痴メンデル」。
弁護士の奥方の不倫を扱った、いかにもウィーン風の風俗劇たる「不安」。
そして1941年、ツヴァイクが亡命の途上で書いた最後の小説「チェスの話」、
これはナチスの圧政下でホテルに軟禁されたオーストリアの名士を主人公にした、
一冊のチェスの本をめぐって展開する陰影に満ちた物語である。
両大戦間でもっとも〈成功〉し、よき市民=ふつうの読書人にもっとも愛読さされた作家の傑作選。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 256ページ
  • 出版社: みすず書房 (2011/8/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4622080915
  • ISBN-13: 978-4622080916
  • 発売日: 2011/8/20
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 麒麟児 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
O・ヘンリーの味わいを感じさせる「目に見えないコレクション」、滅び行く書物の世界そして一人の書痴の生の終わりへの愛惜に満ちた「書痴メンデル」、主人公の内面描写が何とも真に迫る「不安」、そして故児玉清氏が愛した意外性と強烈なドラマ性に富んだ表題作。いずれも紛ふこと無き佳篇ぞろいの一冊。

「不安の方が懲罰よりも、たちの悪いものだよ。だって懲罰はつまり確定したものだから、その軽重を問わずつねに、恐ろしい不確定−あの緊張の無限に続く恐怖状態−よりはましなんだ」(120頁)。
「あらゆる種類のモノマニア的な、ただ一つの観念に凝り固まってしまった人間は、これまでずっと私の興味をそそって来た。人間は限定されればされるほど一方では無限のものに近づくからである」(156頁)。
「思考というものはいかに実体のないもののように見えても、やはり一つの支点を必要とします。それがなければ思考は堂々廻りをはじめ、空しく一所を旋廻するばかりです。つまり思考というものも無には堪え得ないのです」(188頁)。
「一般によき市民といわれる人々は歴史好きであり、それが内的ドラマに仕立ててあると、なおのこと感動が深まる」(236頁、池内紀氏の解説より)。

なお、故児玉清氏へのオマージュともいえる池内紀氏の巻末解説「ツヴァイクの甦り−今は亡き児玉清氏に」も、読み応えあり。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By bias トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
おもしろい。
標題作は、今年亡くなった児玉清氏の愛読書。
なるほど、名うての本好きだった児玉氏だけあって、
こんな唸るしかない、隠れた名作というべき作品をよくぞ…。
読みたかったけれど、ずっと版元品切れ(全集の1冊)。
図書館で探したが、あまりに古い活版で読みづらく、撤退。
新しい組方で、ようよく単行本として刊行されたのを知った。

ツヴァイクはもちろん知っている。しかし、歴史上の人物を描いた
力作以外の、こんなおもしろく、こわく、切ない好短篇があったとは。
実は、この作品を教えてくれたのは、日経新聞のコラム。
自分がつまらぬ能書きを書くより、これを引用したほうがいいでしょう。

「とらわれの身のある日、看守の外套のポケットに本が潜んでいるのを
見つける。やっと盗んだのは案に相違してチェスの手引書だった。
中身をすべて頭に入れてしまった男は釈放ののち、たまたま出会った
世界王者と船上で対戦し……。(中略)筋書きが面白いだけではない。
一冊の本が持つ力の大きさも訴えかけてくる。この小説を薦めてくれたのが、
先日77歳で亡くなった本の虫の俳優、児玉清さんだった……(以下略)」
(2011年5月22日付日経新聞一面「春秋」より)

なぜ「男」が囚われていたのか、また、世界王者と大戦後、
「男」はどうなるのか……それは、ネタバレになるから書きません。
とにかく、「男」が囚われた経緯、彼が1冊の本を渇仰する心理、
そして結末に待ちかまえている運命……すべてその、描き込みの卓抜さ。
まさに「読む愉しみ」が、濃厚過ぎるくらいつまっている。

因縁めくが、本作は、ナチスの惨禍を避けて亡命したツヴァイクの最後の
作品である、ということ。
彼は、真珠湾、東南アジアをはじめ、日本の米英相手の緒戦での優勢に
戦慄し、また、彼が愛した欧州という“昨日の世界”の衰退がヒトラーに
蹂躙されるのをはかなんで自殺したとされる。1942年。60歳。

なお本書には、ほかに「目に見えないコレクション」「書痴メンデル」
「不安」など、しぶいが、読み進むにつれて、引き込まれる3篇を併載。
解説は、独文学者でもある池内紀。これ以上の適任者は、いない。
ツヴァイクの諸作とともに亡き児玉氏(学習院独文科卒)にも触れている。
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