この映画の公開当時は前年に「ダーティハリー2」が公開されていることもあって、題名に「ダーティ」をつけてウケを狙った、「バニシングポイント」風のB級カーアクションムービーという印象が強かった。ところが、観てみると素晴らしい爆走アメリカンニューシネマ。何もうまくいかないカーレーサーと過去酒で失敗したメカニック、現状に不満を募らせる女といった主人公達はニューシネマの王道的設定。主人公達の過去については多くを語らず、今を思いっきり生きる姿を描く演出法は極めてシャープ。一夜をともにした男女が行動をともにする設定は「俺達には明日はない」のボニーとクライド的でもあるし、2人の男と1人の女の間に次第に友情芽生えてくるところは「冒険者たち」をも彷彿させる。彼らを追う警察側もアウトロー的なキャラクター(ビック・モロー)を配し、徹底的に社会に不満をぶつけまくっている。「俺達の前に遮るものは何もない」というピーター・フォンダの言葉は印象的。衝撃的なラストは特に素晴らしい。ジャンプするシボレー、バリバリ爆走するダッジ・チャージャーはまるで生きているかのような躍動感があり、カーチェイスは迫力満点。ニューシネマとしては社会的な描写が欠如している部分は否めないが、爆走ムービーとしては文句なしの逸品。今までDVD化されなかったのが不思議なくらい。このDVD特典映像は全くないが、ある意味貴重な作品であり嬉しいDVD化だ。