1939年、ナチスドイツによるチェコ併合により祖国を捨て、イギリス空軍の義勇兵として戦ったチェコ空軍のパイロットたちの友情と恋を描く。激しい戦いを生き延び、戦後祖国に帰国した彼らは、共産主義に反する思想犯として収容所に囚われるのだった・・・。
戦前の平和な時代から描かれるメインストーリーに、1950年代の重苦しい収容所でのシーンが時折挿入される構成。戦前や帰国した直後での牧歌的なチェコのシーン、イギリスで出撃した青い空とドーバー海峡の青い海、暗く陰鬱な収容所のシーンと対比がすばらしい。
題名にもなっているように空のシーンが多く、実写と特撮をうまくおりまぜた飛行シーンは独特の浮遊感覚があり迫力(さすがジブリが推すだけはあります)。プロペラエンジンの戦闘機(スピットファイア?)は軽快に飛ぶものの(発進シーンの見事なこと!)、少しの被弾やエンジンの故障であっけなく落ちていく。
開放感のある飛行シーンの対比として、収容所の閉塞感が際立ち、彼らのたどった非情な運命が心に残る。祖国に待っているはずの恋人はすでに結婚しており、すべてを失った主人公。ラスト、主人公の回想の中で、亡くなった同僚の乗る僚機を連れ、赤く染まった空を飛ぶシーンが哀しいくらいに美しかった・・・。