ドロウの遺産、星なき夜に続くミスリルホールを巡る物語はいよいよ佳境へ。
悲しみに折り合いをつけて立ち上がるキャラクターたちは力強く、あのお昼寝大好きレギスまでが勇ましく戦おうとする姿には感動を超えて何かの伏線なのではと疑ってしまうほど。
またダークエルフであるドリッズトが自身の生い立ちに苦悩する流れを追いかけてきた読者には、多種族が連合した軍の中で中核を担う彼が眩しく見えるはずです。
そうした勇ましい軍に襲い掛かるドロウたちは策謀の裏で利己的に相手を出し抜かんとし、そこへついに信仰の対象であるルロスが顕現、加えてアイスウィンドサーガで登場したエルトゥまでも関係してくるなどパワーバランス完全崩壊。そんな中で善き民たちが死闘を繰り広げる展開はまさに剣戟と魔法が飛び交うファンタジー小説の醍醐味といえます。
物語の舞台であるフォーゴトンレルムの歴史の中で重大な事件の一つ、タイムオブトラブル(災厄の時)が背景に据えられているので、本書を読む前か読みながらでも関連書籍(シャドウデイルサーガやフォーゴトンレルム年代記)に目を通すとより一層物語に入り込めると思います。