心の哲学などで活発な発言を繰り返し、またドーキンス
利己的な遺伝子 <増補新装版>の盟友でもある哲学者デネットによる進化論の書。
彼の主張は明快で「進化はアルゴリズムに過ぎない」というものだ。
彼は「スカイフック」と「クレーン」という見方を用いる。
「スカイフック」というのは、天から下がってくるフックのことで、要するに「地上には足場が存在しない、天からのある方向へのリード」ということである。
他方「クレーン」というのは、地上から黙々と積み上げながらしだいに延びていくもので、今あるもののみを頼りに次へ進む仕掛けである。
デネットの擁護するのはクレーンであり、スカイフックを探し求めようとする論者には徹底した批判を加えている。
本書での批判の対象となるのは、古生物学者のグールドであり、言語学者のチョムスキーであり、また物理学者・数学者のペンローズである。
デネットは、彼らは進化を単なるアルゴリズムの帰結だとすることに不満(不安)であり、スカイフックを探し求めているとされている。
個人的な印象としては、見方を「スカイフック」と「クレーン」の二択に絞るのは絞り過ぎな感が否めないと思った。
例えばグールドの偶然性とランダムさの擁護論への批判は、それ自体適切なものかもしれないが、それを「スカイフック」としてくくるのには違和感をぬぐえなかった。
デネット自身もアルゴリズムの帰結として、人間性の特殊性を擁護しており、なんかあまりしっくりこないところが残った。
とはいえ、読んでいて面白い本ではあるので、進化論を考える人は一読して損はないだろう。