登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
50 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すごい、すごすぎるよ、筒井さん!,
By
レビュー対象商品: ダンシング・ヴァニティ (単行本)
筒井さんは40を超えている私の父親より年上なのに...どこから来るのだろうか、このパワーは?ただ、ただ、圧倒されてしまった。あえて名前を挙げないが、日本SF界の巨匠と呼ばれる方は結構、晩年または近年の作品がガス欠状態になっている場合が多いのだ。それなのに、今年74歳になろうかという筒井御大は、まだまだ進歩を続けているではないか。いったい私たちをどこまで連れて行ってくれるのか? 作品の感じとしては「夢の木坂分岐点(これも傑作だ!)」にちょっと似ているが、「ダンシング・ヴァニティ」の方が毒が強く、かつ浮き世を超越した視点から語られている。この本の文章は、まさに優れた音楽だ。繰り返しながら、微妙に変化していく旋律は読者を予想もしない世界へと導いていく。 日本国は総力を挙げて筒井康隆を保護すべし。まさに人類の宝である。
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
小説における経歴総和の試み,
By
レビュー対象商品: ダンシング・ヴァニティ (単行本)
美術評論家の「おれ」が語る、無数にありうべき半生の物語。読み始めて2頁目で思わずニヤリとさせられる──御大、またやってくれましたね、と。初っ端からぶっ壊れたかと見紛うような、レコードの針飛びのように繰り返されるシーケンスは、しかし微妙に細部を異にしながら「おれ」の人生に蓄積されていく。確信犯的に執拗に繰り返されるその手法が狙うのは、量子論に於いてファインマンが提唱した「経歴総和法」の、文学への転用という新たな試みと解釈できそうだ。夢もうつつも妄想も全て現実である──そう規定して展開される「おれ」の奔放な物語は、それを多角的な視点で捉えるために様々な小道具が用いられており、一見何のために登場するかわからないフクロウやコーラス・ガールもそれぞれが「おれ」のイドでありアニマであったりするのかも知れないが、そんな読者の得手勝手な解釈も全て包容して余りある面白さがこの作品には詰まっている。提示された全ての経路を積分したようなラストシーンはそれだけにずしっと胸に応える。久々の衝撃作。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
高度な小説技法で人間の「意識(深層心理)」を抉った快作,
By
レビュー対象商品: ダンシング・ヴァニティ (単行本)
渡真利と言う美術評論家を主人公にした家族小説なのだが、筒井の代表作と言って良い程の超傑作。まず、三頁目まで読んで驚いた。「夢の木坂分岐点」の手法が凝縮されているではないか。更に読み続けて、筒井が得意とする現実と夢、現世と冥界、現在と過去・未来を渾然一体化して描く手法が使われている事が分かった。即ち、人生の"ある時点"で一人の男(とその家族)に起こり得る出来事を、時空や現世・冥界・夢を超越して重層的に描くと言う、これまでの筒井の手法の集大成とも言える作品である。本作を「踊る虚無」と名付けた筒井の心境が理解出来る。全ては「白いフクロウ」の夢の中か...。実験小説風の体裁であるが、微妙に異なる形で繰り返し語られる"ある時点"での家族模様は、家族の関係を様々な視点で眺めたものとなっていて、家族小説としても優れたものとなっている。また、時点(話題)が異なっても、(微妙に異なる)同じ場面が繰り返し語られると言う念の入れ様。主に、戦争と鳥・虎がモチーフになっている様だ。更に、小説と言う虚構中の登場人物が、他人の夢の中の登場人物ではないかと疑う展開。渡真利の性的「自我」を具象化したコロスと言う美少女グループも出て来る。一体、何重構造の小説になっているのか分からない。「動悸動悸する←ドキドキする」の様な言葉遊びも健在である。一つ一つのエピソードも奔放。スラップスティック・ギャグも繰り返しギャグとなって笑いを倍化してくれる。つまり、小説としての面白さ・遊びは少しも犠牲にしていないのである。それとなく、文学賞選考批判、画壇・論壇批判を入れているのも筒井らしい。そして、徹底的に追求しているのは人間の「意識(深層心理)」である。 娯楽性を保ちながら、高度な小説技法で「夢」・「自我」・「意識(深層心理)」と言う人間の心理を抉った快作。まさに、筒井の小説技法の集大成とも言える作品。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|