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映画「The Hours」を見て食指が動いた。
映画の中で朗読される小説の文体が、妙に小気味良く(そもそも朗読に合う文体だからであるが)、どうも自分の先入観は間違っていたのではないか、と感じたことが大きい。
短い文章がリズミカルに積み上げられている文体は非常にキレがあり、コケティッシュ。饒舌で、繰り返しや挿入が多くても、キレは決して鈍ることはない。その点、彼女らに影響を受けた、日本の「意識の流れ」派の作家との違いを感じる。性差のせいか、言語の性質のせいか…。
しかし、この文体に乗せられてスイスイと気持ちよく読んでいると、登場人物の閉塞感、そしてウルフ自身の閉塞感の中に導かれていく。気が付くと、得体の知れない苦しさに取り付かれているだろう。
冷静になれば、いろいろ文句も思いつきそうな気もするのだが、とにかく終始ウルフのペースに巻き込まれ続けた、という感が強く、読後感では星5つ。文学史上、エポック・メイキングな作品が持つ力を知らされる。
映画のThe Hoursを味わうには、Cunninghamの同名小説(原作)よりMrs Dallowayである。
二人の全く違う人間の24時間が錯綜し、社会や女性、階級や帝国主義など大きな問題が流れるような文体の中で次々に照らされてはうつろっていく。
「灯台へ」へとつながる名作。
映画にもなっていて、原作で読むのであれば先に映画を見て、イメージをつかんでおくのも良いかもしれない。
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