芸術家の画集に限らず、文豪の長編小説や科学者の論文等、「天才」と呼ばれた人達の足跡を辿るのは、私達一般人にとっては敷居の高い部分があります。
しかし、本書は決して内容を薄くする事なく、私達一般大衆に受け入れやすい形で、天才の足跡を一歩一歩追って行く構成になっています。
もちろん、ページ数の都合上、全ての作品に対して詳細な解説が為されている訳ではないので、本格的に芸術家を目指す人達にとっては、本書の内容では少々物足りないのかもしれませんが、そもそも、ダリ自身が大衆に対して、自らの中にある猥雑な非合理性を愛するように説いているわけですから、決してダリの作品は一部の評論家達が独占して称賛する為のものではないでしょう。
本書を読み終えた後、もう一度、宇宙の広さと自分の素晴らしさに気付く事ができます。
「常識を否定する必要は無い。唯々、常識をからかって遊んでやれ」というダリの声が、天から聞こえてきそうです。