とにかくパワフルな本。ダリという人は、一年三百六十五日、一日二十四時間ずっと「画家」で在り続けたのだなと実感出来る。
絵を描き出す前にはこういう心がけでこういう生活をして、こういう勉強をしろ、背景や骨格を知らずして描くな、画家にとっての眠りは夢に何かを教えてもらうためのもの、昼寝は重要だが手に持った鍵が落ちるまでの時間で十分だ! 寝過ぎはよくない!
いざ描きはじめると、こういう作業には絶対この材料を使うこと! この色はいいがこっちはダメ!絶対!
凡人が理解するには壮大すぎるイメージ、インスピレーション、かと思うと偏執的なほどに細かい指示・指定、それらすべてがランダムに散りばめられ、読む傍から逃げていく。才能と経験に裏付けられた自信に満ちており、当然すべて断言口調である。どこまでも俺様なダリ様、画家を目指している人もそうでない人も、およそ創作に興味や関心のある人であれば、いやもしかして全然なくても、何度も読んでそのたびに違う側面に気がつく、自分の中にすとんと落ちる勘所がかわる、愉しい本である。