タイトルは花のことではなく、怪しげな登場人物の名前である。連作短編集的な構造だが、全体で一つの作品と見た方がよさそうだ。
3つ目の『妻の恋人』は、2つ目『ほら、お前の犬が見ている』の出来事を別人の視点から見た話である。しかし1つ目『生きているものたち』はそれらとは全く無関係に思えるので、戸惑わされた。4つ目『覚めながら見る夢』になると、1つ目との関連が見えてくるのだが、それでもまだ1つ目の異質な感じは消えない。これを最終的にどうするのだろうと思いながら読み進めていったのであった。
最後の『時の意向』が全体を締めくくる視点から書かれているのだが、そのラストで起こる出来事は、なんだこれはという感じだった。こんな大げさなスペクタクルは必要ないだろう。それまで続いていた見えそうで見えない怪しげな印象、見出しから引用すれば「夢の尻尾」的な感じが、ラストで壊れてしまったように思う。