タイトル通りの本。世界史よりも身近で有名な人物が多いので,こちらのほうがとっつきやすく,読みやすくもあるだろう。著者は京大のサークル歴史研究会のOBである。詳しい経歴は本書に掲載されている。ブログのほうも大変おもしろいので,ぜひ読んでいただきたい。かなりブログの内容と重なっている部分が多く,というよりも書籍化の弊害でブログ版のほうが書かれている内容が濃い人物も何人かいる。
http://trushnote.exblog.jp/
著者たちのブログでも本人たちが書いていることだが,社会評論社などというお堅いところが,思いっきりな萌え絵表紙の本書を出版し,しかも多くの書店がサブカルコーナーではなく歴史コーナーに置くという奇っ怪な事態が発生している。これは『もえたん』が受験参考書コーナーに置かれていたことよりも驚きである。カバーイラストの人選も正解。イラストのロリっ子十二単は王道で良いだろう。
おもしろい本で、しっかり調べてもあるのだが、ケチも一応つけておく。まず,書籍の体裁はとられているものの,文体がブログのままで違和感がある。また,おそらく素でヲタ用語,2ch用語を使用していると思うのだが,それ自体はこういう本であるし,なんら問題ない。著者たちもガチでヲタなのだろうから。しかし,どうも吹っ切れてないというか,素人の演劇のような気恥ずかしさが感じられ,使い方としては正しいのだけれど妙な固さが感じられた。いっそ全く使用しないか,もっとやっちゃった方向に振り切れてもよかったのではないかと思う。
そして今回も人選に若干の難がある。いかに変態大国日本といえども,世界と対抗するべく同じだけの人数をそろえようとすると,どうしてもインパクトの薄い人間まで引っ張り出してこざるをえなくなっているためである。世界史版のほうでも書いた通り,ダメ人間のバリエーションが少なく,日本史の場合は単なる放蕩息子,金銭感覚の欠如者が多い。また,強引にこじつけられ,史実としての可能性が低い逸話によってダメ人間にされている人も何人かいて,本全体の信憑性を下げてしまっている。一条兼良や後水尾天皇は完全な「被害者」だ。前述の被害者の他,大久保利通や柳亭種彦,福沢諭吉,加藤友三郎は偉人ではあるが「ダメ」の内容のインパクトが弱い。黒田清隆は単なる短気のような気がする。
しかし,バリエーションを増やすのは世界史に比べると幾分か難易度が高いので,人数を減らして一人あたりの文章量を増やせばよかったのではないか。ブログから大幅に省略されている兼好法師や国学者の連中には,一人10ページ以上割いても良かったのではないか。そのほうが本全体がおもしろくなったことだろう。
(一部、私の『世界史』のほうからの引用)