観始めてすぐは正直、前作の二作『イン・ザ・プール』と『亀は意外と速く泳ぐ』を
観始めた時と比べればあまりノレませんでした。
理由の一つに冒頭から連続するちょっとグロテスクなシーンのせいかもしれません。猫
を焼いて食べるところや、かまいたちで猫じいの頭が切れて大量出血するところ、トルエン
を吸うところなどです。今までの三木作品と比べるとダークさがプラスされていて、笑わせ
られるというより、驚いてしまいました。
しかし!中盤へと入っていく前、主人公たちがみんなで鍾乳洞に行くあたりから、ギアが
入れ替わったようにいつもの三木ワールドが展開されていき、存分に笑わせてもらいま
した。相変わらず、小ネタの「ゆるーい」切れ味が抜群です。
そして、映画終盤に近づくにつれて不穏な空気が流れ始めるのと同時に、インドへ行く
ための資金調達のために倒産した銀行を襲撃するシーンまで一気に畳み掛けられます。
主人公が銀行から奪ったお金を握り締めて街を全速力で走り、眩しいほどに輝く太陽の
光を両手を広げて浴びるシーンは、まるで『ショーシャンクの空に』のラストシーン
を彷彿とさせ、感動してしまいました。あの開放感はなんとも言えないくらい気持ちが
いい。
三木監督の映画は全体に脱力感のある「ゆるーい」映画ですが、前二作や今回の『ダメ
ジン』にも見られる、終盤の切ないほどに心を揺さぶられる空気がたまらない。
映画冒頭で衝撃シーンの連続に面食らってしまい、「ノレなかった」自分はいったい
なんだったんだろう?と思いたくなるほどの鑑賞後感でした。いや、素晴らしい。
三木聡監督は、やっぱりすごかった!!
次回作が早く観たい!!