ダムに寿命がある。当たり前の事であるが、何故かそのように感じた事が無かった私には衝撃であった。日本より数十年先にダム建設のピークを迎えた米国は今や、老朽化したダムの処置に困り、ダム撤去がどんどん進んでいるのである。地震やテロで破壊でもされたらとんでも無いことになるのであるから、安全ではないダムはどんどん撤去の対象に挙がっていく。しかしながら、ダム撤去は簡単どころか、とんでもなく複雑なプロジェクトであることがわかってきた。過去に大きな失敗もあった。ただ、撤去すればいいものではない。そのような困難さを抱えた米国において政府、民間、NGO、一般市民など、あらゆる人々が力を合わせて、さまざまな分野を超えて研究を進め、また、さらに政府に対し具体的な提案をする。それがこの本の内容である。この本を読んで率直に感じたことは、「アメリカ人ってこんなに真面目な人種だったのか。こんなに緻密にダム撤去の科学を追究できるのか。」である。そしてこのような本が翻訳されるということは「ダム撤去の波がいよいよ日本にもやって来た。」とも感じた。とにかく情報の多いダムのバイブルである。こんなに撤去するのが大変なら、最初からつくらなきゃ良かったのにとつくづく感じさせられた。政府の官僚達にも是非読んでもらいたい。