これは、「一人の不幸な少女が、《物語》の助けを借りて、自分の力で、自分自身を救い出す」という内容の《物語》である。現代においては、単なる現実逃避のための《物語》には、あまり意味がないような気がする。《物語》というものには、読者の人生にフィードバックを与え、読者の人生をポジティヴな方向へと変えてしまうぐらいの、《力》が必要なんだと思う。この作品は、《物語》の中にさらなる《物語》があり、さらに、この作品の外側には、読者自身の人生というリアルな《物語》が広がっているという、《物語》の多重構造の中に、厳しい現実を勝ち残るための《作者からのメッセージ》が散りばめられた、素晴らしい傑作だと思います。再読しましたが、読めば読むほど《生きる勇気》が湧いてくるのを、強く感じます。単なる《物語》では終わらない、作品全体を貫く《力強さ》が魅力的な、傑作だと思います。