本書は「研究者の座右の書」とすべきもののひとつ。研究者にとって新しい手法が開発されると、判ることが増えると期待する反面、新たな方法を学習・習得することが負担となる。論文を読むにも、新手法を駆使した論文は、用語や方法を理解するだけで力尽きる。このとき、実際的な煩わしさ以上に「精神的な壁」が大きいのである。本書は、そのような「精神的な壁」を低くしてくれる。今まで知らなかった手法を短時間で読み、イメージを作れるからである。だから、実験の企画に際して、そして論文の読解に際して、第一に参照すべき本であり、「座右の書」となりうるのである。
まずは網羅性が素晴らしい。幅広い分野の実験が載っている。だから、まずはこの一冊を調べれば良いと感じさせてくれる。これだけでも精神的な壁が低くなる。
そして具体性がある点。本書だけで実験のイメージをある程度掴むことができ、新たな方法をさらに検討することにつながる。
今までに、日本語で書かれた実験書の良書は少ない。海外の主要な本はもちろん日本でも入手・閲覧できるが、最初に母国語で読める簡便さにはかなうものは無い。だから本書が日本で刊行された意義は大きい。
本書を、現在の自分が関係する手法を学ぶためだけの参考書ではなく、将来に研究を広げるためや、論文を読む際の「手法の百科事典」として捉えれば、意義もさらに理解されるでしょう。価格は高いが、持っている意味は十分にある。